[vol.15]顧客との関係を変えよう
『ripple letter』は、私たちを取り巻くあらゆる“関係性”に触れるニュースレターです。
何気ない日々の出来事や話題から想像を膨らませて、人と人、人と地域、人と社会の繋がりを感じられるストーリーや考察をお届けします。
Side Story
顧客との関係を変えよう
就職してからずっと誰かの支援側として働いている。職業の呼び名はその都度でさまざまだが、最近の言葉で要約すれば「カスタマーサクセス」だろう。顧客を成功に導くのが仕事である。
そういうと、支援側として完璧なサービスを顧客に提供しなければならないと思わされる。その心意気は正しいし、プロフェッショナルとして仕事に向き合う真摯な気持ちでもあるだろう。
しかし、そんな「導く / 導かれる」という上下を彷彿とする関係性は時代に合っていないように思う。
思い返すと、仕事をするなかで「これが絶対解だ」などと伝えることはなかった。それを自信のなさと言ってしまえばそれまでだが、一番は急速に変化する世の中のスピードについていけていない自覚があるからだろう。
昨日まで正しいと思っていたことが突然覆されることも珍しくない。アクリル板で仕切られていた空間が今日では悪者だ。
そんな正解の見えないなかで顧客を支援する立場の人たちに求められるのは、全てを知り尽くしたような態度で強情に提案することではなく、現時点で最善と思われる仮説を提案し、検証する筋道を提示すること。
そして顧客を教え導くのではなく、一緒に困難に挑み、学び、強くなることだろう。
そんな関係性をつくることが支援側に求められているように思う。ゴールの見えない道を突き進むのは、不安や失敗も絶えないが、そのプロセスすら楽しんでもらえるような存在でありたい。
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