[vol.9]静かでしなやかなリーダーシップ
『ripple letter』は、私たちを取り巻くあらゆる“関係性”に触れるニュースレターです。
何気ない日々の出来事や話題から想像を膨らませて、人と人、人と地域、人と社会の繋がりを感じられるストーリーや考察をお届けします。
*GWとステイホームで崩れた曜日感覚を言い訳に、月曜配信しています…📮
Side Story
静かでしなやかなリーダーシップ
自分の価値観の道標となっている一冊に、『内向型人間の時代 -社会を変える静かな人の力』(スーザン・ケイン著、2012年初刊)がある。
5年以上前、たまたま立ち寄った書店でふと目に入ったこのタイトルに身に覚えがあるように感じて手に取っていた。
ビジネスシーンでは「社交的な外向型」を理想とする風潮が強い。しかし、この著書では「物静かで思索的な内向型」の持つ強みや個性について触れられている。(決して外向型を否定する内容ではない)
冒頭では、アメリカの公民権運動のきっかけを作ったローザ・パークス氏の例が象徴的に語られるが、決して大衆を率いて扇動することはなく、ただ「拒否すべきことを物静かに主張した」だけだったという。それでも多くの人々の心を動かしたのだった。
この例に限らず、世の中を牽引したリーダーのなかに実は多くの内向型がいるという事実も著書で触れられている。
・・・
新型コロナウイルスの猛威が世界中に広がり、私たちの日常が様変わりして久しい。1年前と最近のニュースの見出しを比較したら、「連休はステイホームを」と全く同じことが書かれてあった。
解決の糸口が見えず森を彷徨うような毎日のなかで、「これでウイルスに打ち勝てる」と高らかと宣言しているリーダーたちの姿に、どこか空虚さを感じてしまう。
単一民族で島国の日本では、かつて広告的な宣言が人々を鼓舞し、その通りに急成長してきた歴史もある。ただ、昨今のように個が際立ち、意見も分散化した社会では通用しなくなっている実感が強い。
そんなとき、どんなリーダーシップが求められているのだろうか。
鼓舞することを否定している訳ではないが、粘り強く多様な意見に向き合って、一つひとつ丁寧に対話をしながら進む方向を示していく。そんなリーダーがいれば……、と思うこともある。
別にフロントに立って扇動していなくても、そういったリーダーシップを持つ人たちがもっと今の社会で力を発揮していっても良いんじゃないか。
そんなことを考えながら、今日も変化のないニュースの見出しに目を向けている。
Our Interest
暮らしのまんなかにあった“公園”という存在
「新しい生活様式」で過ごすようになって、日常的に公園を利用する人は子育て世代に限らず増えただろう。これまで気にも留めなかった些細な存在が、私たちのリアルな繋がりをつくる装置として暮らしのまんなかに踊り出ている。公園にもさまざまな制約があって、そのなかで創意工夫が施されていることを知ると、「近所のあの公園」にも敬意を表さねばと感じさせられた。
2020/10/21 公共R不動産
公園法によらない公園。 住民みんなでつくりあげる、佐賀県江北町「みんなの公園」
画面の向こう側まで手を伸ばして
図書館の資料を使って調べ物をサポートするサービスを「レファレンス」と言う。相談者の曖昧で断片的な記憶からヒントを得て、ときには図書館を飛び出して人の力や知恵を借りて答えにたどり着く。画面に文字を入力すると自動で表示される「答えらしいもの」に満足するのではなく、仮説やつながりを用いて真に迫ろうとする姿勢がリサーチの本来の姿なのではないだろうか。そして、こうしてたまに温かいエピソードを提供してくれる図書館の懐の広さを感じた。
2021/4/28 NHK NEWS WEB
謎を突き止める 図書館の力がすごかった
演じよう。「相手の世界」に乗っかって
子どもと毎日接するなかで、どうしても大人の世界に子どもを当てはめてしまおうとする瞬間が訪れる。そのとき、「もっと子どもの世界に乗っかって関わることができないのだろうか…?」記事の内容は介護とお笑いが主題だが、子育てにも通じていて自問自答するきっかけを与えてくれる素敵な対談だった。
2021/4/15 こここ
「お笑い」や「演劇」は他者の世界に寄り添うヒントをくれる。りんたろー。さん×菅原直樹さんが語る「介護の話」