[vol.1]会ったことないけど、友だち。
『ripple letter』は、私たちを取り巻くあらゆる“関係性”に触れるニュースレターです。
何気ない日々の出来事や話題から想像を膨らませて、人と人、人と地域、人と社会の繋がりを感じられるストーリーや考察をお届けします。
Side Story
会ったことないけど、友だち。
インターネット上で気軽に交流できる場としてSNSが広がって随分と経つ。昨年から続くコロナ禍は、より一層オンラインでのコミュニケーションを進歩させ、今後は会ったことのない人同士で仕事をする機会も増えるだろう。このニュースレターも完全オンラインで運営している。
こんな話は今だから違和感なく受け入れられるかもしれないが、遡ること10年以上も前。パケホーダイが売りだった時代、高校生だった私にはインターネット上で出会った友だちがいた。
特にリアルの暮らしが嫌だった訳ではないけれど、共通の趣味指向ですぐに繋がることのできる空間は、気楽で居心地がよかった。
当時は、顔写真はないし、名前も変なハンドルネーム。年齢も、性別も、外見も分からないが、話さえ合えば大した問題でもなかった。
そして、何だかんだ今でも10人ぐらいとは繋がり続けている。
さすがに10年以上の仲なので、お互いどんな人なのか知っているけれど、いわゆる幼馴染がいない私にとって一番長い付き合い友だちになった。
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こんな経験もあって、直接会って話すことは人とのつながりの絶対条件ではない。チャットの方が気楽に話せることもある。
前職でコロナ禍に遭い、昨年3月からフルリモートで過ごした。その間、何人ものインターン生をオンライン面談で採用した。これはさすがに勇気が必要だった。結局、在籍時には会えずじまいだったことは残念だけれど、会えなくても一緒に頑張れた経験は、また私の価値観をしなやかにしてくれたと思う。
会ったことがなくても、共通の趣味指向やビジョンを共有できていれば、距離の壁は存在しない。年齢も、性別も、外見も、仲良くなれるかどうかには本当は関係ない。
コロナ禍の毎日は大変だけれど、その事実に気づけたことは希望的な出来事の一つなのかもしれない。
Our Interest
インターネットのどこに住まうか
一大ブームも落ち着き、実用フェーズに向かうClubhouse。会社説明会などすでに採用に取り入れ始めた企業もいるが、アクセシビリティの観点が気になってしまう(現状はiOSアプリのみリリースされ、Android版はまだない)。これからの時代、以前のように住む地域に左右されることは減るかもしれないが、デバイスの種類や通信環境が生む新しい格差があるかもしれない。
2021/2/24 BUSINESS INSIDER
Clubhouseの第一次ブーム終焉で見えてきた「実用化」で就活・採用が残る理由
感情で目の前がまっくらになった
カズオ・イシグロの新作が出た。東洋経済のインタビューが素晴らしい。「私たちは、あまりに『自分の心が感じていることが重要だ』と強調しすぎたがために、エビデンスを軽視するようになったのではないでしょうか」の言葉にハッとさせられた。
2021/3/4 東洋経済オンライン
カズオ・イシグロ語る「感情優先社会」の危うさ
大切なことがなんだったかすぐ忘れてしまうわたしたち
閣議での「お茶出し」を巡る上司と部下の攻防。「あれ、筒井康隆の短編かな?」と思うほどのナンセンスが最高である。笑ってしまったが、こういうことは現実世界のあちこちで、自分のすぐそばで繰り広げられている。
2021/3/4 デイリー新潮
首相官邸で“お茶出し”を巡って傷害事件が発生 裁判で明らかになった両者の言い分
地域との関わり方のグラデーション
移住・定住が叫ばれる世の中だが、「毎年のように訪れる」「その土地の食べ物を好んで選ぶ」「行ったことはないけれど憧れている」すべて地域との正しい関わり方と言えるのではないだろうか。ここ最近、地域が積極的に副業人材の受け入れをしている事例を目にして、地域貢献のかたちも日々変化していることを感じた。肩肘張らない程度の適度な距離感もまた関係を長続きさせるために必要かもしれない。
2021/1/6 日本経済新聞
静岡県、「関係人口」紹介のライター募集